名前:生塩ノア

記録に使用した手帳15ページ目

いいね

───────。

・・・先生、少し休憩しましょうか。コーヒーを入れますので、そのまま座っていてください。





・・・お待たせしました、どうぞ。

・・・・・・ふぅ。
やっぱり、淹れたては美味しいですね。
ミレニアムのコーヒーメーカーは豆の香りを最大限に楽しめるように工夫を─────・・・・・・『何も聞かないのか』・・・ですか?

ふふっ、顔を見れば分かりますよ。
ちゃんと先生の表情の変化は記録していますから。

・・・・・・まだ私は、先生ほど生きていません。
古い言い方をすれば、まだ小娘で、大人ほど世の中を知ってはいません。

ですが、生きていれば、誰かとの劣等感や立場への責任感、何かへの罪悪感・・・そういったものに押し潰されそうになって、どうしようもなくなって・・・消えてしまいたいと思うことは、誰にだってあると思います。

本当にどうしようもないほどに、楽になってしまいたい時・・・慰めとして聞く言葉は、かえって苦しむ言葉になることがあります。

『死なないで』、『生きて』、『未来は明るい』、『楽しいことをしよう』、『みんなもそう思ってる』、『気にしすぎ』、『もっと悩んでる人がいる』・・・・・・くだらない、と、吐き捨ててしまいたくなりますよね。

誰かの為に一生懸命になれて、寄り添って、愛して、支えになる・・・そんな事が簡単にできるのは、子供くらいです。
大人は皆、自分のことで精一杯ですから。

・・・だからこそ、私は・・・『死にたい』と悩む事があっても、生徒を心から想い、大人になるまで、時に優しく、時に厳しく・・・そうして支えてくれる、『あなた』を、心から尊敬しているんですよ?

・・・ですが・・・申し訳ありません、先生。
実は、先生が『死にたい』と呟いた時・・・少し、嬉しかったんです。
悪感情があるという意味ではなく、生徒に一切弱みを見せようとしない先生が、生塩ノアという存在に、弱みを見せるほど信頼をしてくれている、という事が、です。

ですから、先生。
私と二人きりでいる時ぐらいは、責任感という荷物を一度下ろして、『先生』でなくなっても、いいんですよ?

私はありのままの『あなた』を、受け入れますから。
死にたい