(菊さんや故郷のことを考えていると、自然に涙が出てきた。

香くんはそんな私を見て抱きしめてくれるけど、「帰りたい」、そう声に出てしまった。)


……〇〇、こっち向いて。


(ペットボトルの中身を口にしたであろう香くんに、ぐ、と半強制的に向き合わされ、唇が重なる。

いきなりのことに驚き、口内に入ってくるモノを拒めない。


少し苦い固体の『何か』と香くんの舌。
混乱ついでに多量の液体を流し込まれれば反射的に飲み込んでしまって、吐き出せない。


熱く、ほんの少し苦みが移った舌を抜かれると、なんだか頭がぼんやりとしてーー)


ごめん。あんまりやりたくないんだけど、寝て起きたらマシになるかも的な。
先生のお手製だから、副作用とかは酷くない。大丈夫。


(意識が途切れる寸前、香くんの傍らにぼんやり見えた手書きの文字は。

『安眠药』?)


◯ホームシック