……え。
まさかとは思うけど……いま拙者に、E = mc²ってなに?って聞きました?本当に?ガチ?それ、この時代に生きてて許される質問でござるか?
いや。いや、いいんだよ?いいんだけどさ。
呼吸ってなんですか?太陽ってなんですか?2+2っていくつですか?ってレベルの話されてる気分なんだが。大丈夫?頭、ついてきてる?心配でござるな〜〜。
ま。ここまでレベルが地の底なら、逆に説明のしがいがあるってもんですわ。よーく耳の穴かっぽじって聞くでござるよ。これが知性の光ってやつだから。
……コホン。
E = mc²は、アインシュタイン大先生が相対性理論の中で導き出した質量とエネルギーの等価性を示す公式だよ。要するに、エネルギーは質量に光の速度の2乗をかけたものってこと。
cっていうのは光の速さ。秒速約30万km。それを2乗すると?
……あ。もしかして計算できそうにない?失礼。知能レベルをもう少し下げてお話しします。
ま。つまり、ほんのちょっとの質量でもとてつもない量のエネルギーを持ってるってことなんだよ。
たとえば君の目の前にあるアルミで出来た硬貨。質量は1gくらいかな。
それがもし完全にエネルギーに変換されたとする。そうすると原爆級のエネルギーになるってこと。
でも、こういう話をしたところでどうせ君は「へーすごーい」くらいにしか思ってないでござろう?その「へー」の中身を全部分解して理論的に説明できるのが、科学者なり賢い人種ってこと。
凡人は一生、「すごーい」って分かったフリしかできないわけ。わかる?いや、わかんないか〜〜。
で、もう一度聞くね。さっき、E = mc²ってなんですか?って僕に聞いたよね。
「君が無知であることを証明する、世界で最も有名な数式」だよ。
……これ、名言だから君のノートに書いといてあげよう。我ながら上手いこと言い過ぎでは?デュフフッ!
すごーい、じゃダメなんですか?