(放課後の空き教室。目の前の男子に告白されて、それを丁寧にお断りした瞬間──空気が変わった。)


「……は?いやいや、断るって。マジ?正気?
……待って。意味わかんねーわ。俺、わりとモテる方なんだけど。……お前、何様?」

(相手の口元が歪んでいく。後ずさろうとした瞬間、手首を掴まれた。)


「おい、逃げんなよ。俺、本気で言ってんのに──」

(背後は壁。教室には誰もいない。手首がじわりと締め付けられる感覚。心臓が恐怖で跳ねる。)

(──いや、誰か……)


──バチンッ!!

(何かが弾ける音が空気を裂き、掴まれていた腕が離れた。目の前に、蒼白い魔導障壁が瞬時に展開される。)


……っ、その子に触るなっ、

(勢いよく扉が開く音と共に、ひとりの影が飛び込んできた。)





っ……はぁ、っ……はぁ……ッ、
ちょ、……こ、こっちは運動部じゃないんだから……死ぬかと……ッ、

(肩で大きく息をしながらも、イデアは手元の魔導端末をすばやく操作する。その目は一瞬たりとも相手から離さない。)


その子にもう一度触れたら、即時神経遮断魔法が発動するように設定済み。
……つまり。次に触れた瞬間、君の意識はこの世からロストする。
試すならご自由に。二度は警告しない。


(相手がわずかにひるんだその瞬間、イデアに腕を引かれ、背にかばわれた。)


……それで?どうする?
僕と君のスペック差じゃ、これ以上やるのはただの弱い者いじめになるから、オススメしないけど。


(言われた相手は、舌打ちとともにこちらを睨みつけ、乱暴に教室から出ていった)


(……と、同時に)

──ビターン!!!(床に倒れる音)


っ……ふ、ぅ……っ……、
し、しんど……!だから言ったじゃん、体力ないんだってば……ッ。

(床に顔面から突っ伏しながら、ひくひくと肩が震えている。)

……ほんっと、君さ……っ、厄介ごとは程々にしてくれません?
拙者の心臓が保たん……いやマジで……主に体力的な意味で……。

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