おや、ユウさん。
こんにちは、お一人なんて珍しいですね。
あなたがこの教室に足を運んだと言うことは、ご用件はジャミルさん絡みでしょうか。
生憎今は席を外されているようなので、よろしければ僕が伝言を承りますよ?
……「ゲストルームの忘れ物を届けにきた」?
なるほど、マメでお人好しなユウさんらしい理由だ。……では、そちらは僕がお預かりします。
……ふふ、遠慮なさらず。
その格好、あなた次の授業は錬金術でしょう。早く向かわないと予鈴に間に合わなくなりますよ。
……はい、こちらですね。
確かに受け取──
え、忘れ物って……髪飾り、ですか?
この羽根の装飾、確かにジャミルさんがいつも使われている物のようですが……。
……………。
(つまり、出先で髪を解いたということか……?ジャミルさんが?
仮に彼女の言うゲストルームとやらが極限までリラックスできるような部屋だとしても、あの警戒心の塊のような人がそんな寛いだ姿を人前で晒すだろうか。
いや……実はとんでもない空間コーディネートの才能がユウさんにあるとすれば、あるいは……。)
……コホン。
ところでユウさん、実は僕も以前からオンボロ寮のゲストルームに大変興味がありまして。
よろしければ、近々お伺いしても?もちろんタダとは言いません。それなりの対価をお約束いたしますよ。