名前:ジャミル・バイパー

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うっとりです


……君はいつも、そんな薄着で来客の応対をしているのか?

呆れたやつだな……。
ここを訪ねてくるのは男ばかりだと知っているだろう。もう少し警戒心を持て、なにかあってからでは遅いんだぞ。

しかも今、ロクに相手を見ずに扉を開けたな?
訪問者を確認せずに招き入れるなんて危険すぎる。せめて解錠する前に名前くらいは訊ねろ。
……おい、聞いているのか?

(長々と続きそうな小言を終わらせようと慌てて訪問の理由を訊ねると、彼はポケットから見覚えのあるスマホを取り出した。)

ああ……ほら、これ。君の物だろう。
スカラビアの談話室に忘れていたぞ。……まったく、そそっかしいやつだな。

……用も済んだし、俺はもう行くが……次に誰か訪ねてきても絶対にその格好では出迎えるなよ。
せめて上に一枚羽織れ。……わかったな?