名前:ジャミル・バイパー

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うっとりです

……この数ヶ月で君の突拍子もない言動には慣れたつもりだったが、どうやら認識が甘かったようだな。
はあ……いいか、ユウ。
俺たちはまだ学生だし、そもそも交際すらしていない。将来の約束をするような関係じゃないはずだ。

それに……ああ、いや。
……なんでもない。

(不自然に言葉を切った彼をじっと見つめて続きを促すと、やがて誤魔化せないと踏んだのか言いづらそうに口を開いた。)

その……君はいつか、元の世界に帰るんじゃなかったのか?
仮に……もし本当に、俺がいつか君との今後を意識するようなことがあったとしても、ある日突然いなくなる可能性を考えたら尻込みしてしまう……と思う。……まあ、あくまで仮定の話だが。

君は、君がいた世界で幸せになるために今こうして頑張っているんだろう?
それでいいじゃないか。変に道を踏み外す必要はない。