名前:ジャミル・バイパー

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うっとりです

くくっ……あれだけの魔力で吹き飛ばしてやったんだ、カリムもオクタヴィネルの連中もタダでは済まないな。
……ああ、そもそも魔法すら使えないやつもいたか。あいつなんて目も当てられないだろう。
一度は逃げおおせたはずなのにのこのこと戻ってきて……本当に馬鹿なやつだった。……まったく……あの無防備で能天気な笑顔、思い出しただけで腹が立つ。
……あんな……出会って間もない俺のことを、心底信じ切っているような──

……………。

やめだ。
いなくなったやつのことなんて考えても意味がない。
そんなことよりも……俺にはやらなければいけないことも、やりたいことも山程ある。
ああ、そうだ……俺はもうなにも我慢しなくていい。俺を縛るものは、なにもかもなくなったんだからな……!

……あんな女一人、取るに足りないさ。
もう会うこともないだろうしな。