名前:ジャミル・バイパー

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うっとりです

……なあ、ユウ。
少しいいか。君がこのまま次の夢に渡ってしまう前に、話しておきたいことがあるんだ。

(手招きされるままダミーデータではしゃぐ面々から離れるように移動すると、普段よりもどこか穏やかな雰囲気の彼が目を細めた。)

……悪いな、こんなバタバタしているときに。手短に済ませるよ。

──ユウ。
俺は今回の計画が成功して、この夢から醒めることができたら……君に伝えたいことがあるんだ。
今まで誰にも明かしたことがない、俺の一番の秘密。……それを君に話すよ。

……今すぐ聞きたいって?
ははっ、勘弁してくれ。……打ち明けるのに、ある程度心の準備が必要な内容なんだ。
このあと自分の夢に戻ってから、どんな言葉で伝えるのかじっくり考えておくことにするよ。

……約束だ。
次に"現実"で会ったときは、俺が今まで言えずにいたことをすべて君に伝える。
……こんな状況にならないと覚悟の一つも決められないなんて、我ながら情けないけどな。