名前:ジャミル・バイパー

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うっとりです

──なんのつもりだ?
君は今、なにをしようとした。

(押し倒そうと触れた手をしっかりと掴まれ、半ば覆い被さっていた身体は元の位置まで押し戻されてしまった。)

……いいか。
俺が普段君に近い距離感を許していたのは、君が子どもみたいに単純で男女の仲を意識しないやつだと思っていたからだ。……俺の身近にそういうやつがいることを、君も知っているだろう?

だが、今のは違うよな。
明らかに"そういうこと"を期待した顔をしていた。

君が俺のことをどう思っているのかは知らないが、俺は恋人でもないやつとそういう関係になるのはごめんだ。
君を慕う男なんて他にも腐るほどいるだろう。そっちを当たってくれ。