ジャミル:(ふっ……寮生たちがユウの作ったクッキーに群がっているな。
どいつもこいつも必死になって手を伸ばして「美味しい」だの「いい嫁になる」だの……当然だろう。そのレシピを教えてやったのは誰だと思ってるんだ。
まあ……あいつの料理の腕を熟知し、わかりやすく手解きまでしてやれるのなんて、この学園で俺くらいのものだろうが。
……お前たちは精々、その不揃いな形のクッキーの消費役になってくれればいいさ。
ユウは綺麗に焼けたクッキーを選り分けた上、ラッピングまでした物を一つ作っていたからな。
あれは恐らく"レシピを教えたお礼"として、俺のために用意された物に違いない。
まったく……あいつも可愛い顔をして残酷なことをする。お前の手作りというだけで、どれだけの男が恥も外聞もなく群がると思ってるんだ。現に今だって、"深謀遠慮"のスカラビア寮生が見る影もない。
……まあ俺はそんな必要もなく、ユウの心が一番込められたクッキーにありつけるわけだが。
さて……いつ俺の方へ持ってくるんだ?できれば寮生がいないタイミングがいいが、鈍感なユウはそこまで考えないだろうからな……。
あいつらの目の前で渡されて、恋人だのなんだのとありもしない尾鰭の付いた噂が立つのは避けられないか。
はあ……やれやれ。)
スカラビア寮生A:……あれ、監督生。そっちの綺麗に包まれてる袋は?誰かにやる分?
あ〜……はいはい、グリムの分ね。あいつ猫なのにお菓子食べても大丈夫なんだな〜。……え、魔獣?マジで?
スカラビア寮生B:……ていうか、副寮長さっきからなにやってるんだろう。ずっと腕組みしながらニヤニヤしてこっち見てるし……監督生のクッキーいらないのかな?
スカラビア寮生C:まあ、来ないってことは今は食べる気分じゃないんじゃね?これは俺たちだけで食べちまおうぜ。……あ、念のため寮長の分は取っておくか。