名前:ジャミル・バイパー

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うっとりです

だから「もう少し厚着をして来い」と言ったんだ。
いくら砂漠でも日が沈めば当然気温も下がる。寮内の温度管理だって完全じゃないんだ。
なのに君ときたら呑気にジャケットもベストも脱いできて……風邪を引きたいのかと思ったぞ。

まったく……少し待ってろ。すぐ戻る。

(足早に談話室を出た彼が戻ってくると、手には私物であろう見慣れたパーカーを持っていた。)

ほら、これでも着ていろ。
……少し大きいだろうが我慢しろよ。そもそも忠告を聞かなかった君が悪いんだからな。