名前:ジャミル・バイパー

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うっとりです

急に訪ねて悪かったな。
探していたカリムの忘れ物も見つかったし、俺はこれで帰るよ。また明日な、ユウ。

っと……君、髪になにか付いて──

(こちらに伸ばされた手に思わず肩がビクリと揺れると、訝しげに目を細めた彼はそのまま髪へと触れずに腕を組んだ。)

……なあ、ユウ。
前から訊こうと思っていたんだが……君は、俺が怖いのか?
他の連中と俺とでは、明らかに距離感が違うだろう。
やけにこちらを見ているかと思えば、視線を向けると顔を逸らすし。俺に用があるのかと思って近付いても、君は挙動不審になってすぐに離れていく。
……別に怒っているわけじゃないさ。俺がホリデーで起こしたことを考えたら当然の反応だからな。

ただ……もしそうなら、今後ここに来ることは控えようと思ってる。……俺だって、君を不用意に怖がらせたいわけじゃない。

怖いわけじゃないんですけど……