(合鍵を受け取ったその日の夜。臙脂色のリボンが結ばれたオンボロ寮のそれを見つめると、同時に能天気な少女の笑顔を思い出して小さく溜め息を零した。)
ユウのやつ、後先考えずに配り歩いてないだろうな……。
一応、明日辺り様子を見に行ってやるか。他の連中が入り浸っていたら事だしな。……もしユウが手を焼いているようなら追い出してやればいい。
……というか、こんなもの俺以外に誰に渡したんだ?
俺の知らない連中や……もしかして、カリムにも……?
……………。
はあ……なにが「いつでも来てください」だ。
人の気も知らないで。