名前:ジャミル・バイパー

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うっとりです

ああ、ユウさんですか。こんにちは。
ちょうどよかった。実はあなたに一つご提案したいことがありまして……今、少しだけお時間をいただいても?

……ふふ、ありがとうございます。
では早速ですが……ああ、回りくどいことは抜きにして単刀直入に言いましょうか。

あなた、モストロ・ラウンジでアルバイトをしてみる気はありませんか?
前々からお誘いしたいと思っていたのですが、ジャミ……いえ、なかなかあなたとゆっくり話す機会がなかったものですから。

(急な申し出になんと答えようか逡巡していると、目の前の彼はこちらに一歩距離を詰めたあと優しく微笑んだ。)

──あなた、お金がご入用ですよね?

なんでもジャミルさんと来週末、麓の街まで仲よく外出されるそうじゃないですか。
ああ、誤解しないでください。盗み聞きをしたわけではありませんよ。
ただ……そう偶然、あなたとジャミルさんの会話が耳に入ったものですから。

意中の人を振り向かせるためのコーディネート一式を揃えるお金。
そして、出先での食事や娯楽で消費するお金。
……今週一週間、こちらが提示する条件でアルバイトをしていただけるなら……そのすべてを保証いたしますよ。
どうです、悪い話ではないでしょう?