名前:ジャミル・バイパー

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うっとりです

……ふうん、そうか。
君が最近やたらとスマホを眺めていたのは、VDCの動画を観るためだったんだな。……なんだか少し気恥ずかしいよ。

……へえ……?
君にはそんな風に俺のことが見えているのか。……ありがとう、それだけ褒めてもらえるならあの事件にめげずに頑張った甲斐があったな。

……ああ、そこは特に練習をしたから覚えているよ。
確か君にも振り付けの確認で何度か付き合ってもらったよな。あのときは本当に大変だった。……まあその時間は君を独占できたわけだし、今となってはいい思い出だが。
……………。

──なあ、ユウ。もうこんな時間だぞ。
そろそろ寝ないと朝がつらくなるだろう。……続きは明日にしたらどうだ?

(先輩がかっこいいのでもう一度だけ、とスマホ画面の再生をタップすると、なんとも言えない表情になった彼は曖昧に頷いた。)

……そうか。

……………。

やっぱりVDCの先輩はかっこいい