名前:ジャミル・バイパー

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うっとりです

……ユウ、少しいいか。
熱心に準備をしているところ悪いんだが、君に話したいことがあるんだ。……作業は一度中断して、こっちに来てくれないか。

(スタスタと足早に歩き出した背中に慌てて後ろから続くと、柱の影になる場所で彼はようやく振り返った。)

──俺が言いたいことはわかるよな?
ほら……手。消毒してやるから早く出せ。

首を傾げながら両手を差し出す