名前:ジャミル・バイパー

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うっとりです

……随分と心配性だな。
俺が君を置いてどこかへ行くわけがないだろう。俺がいない間に、君に悪い虫が群がってきても困る。
……それに、"それ"を言うのはどちらかと言えば俺の方じゃないか?

(こちらの両頬を手のひらで包むと緩慢な所作で額を合わせた彼は、どこか祈るような面持ちで口を開いた。)

──なあ、ユウ。
頼むから……俺を一人にしないでくれよ。

君がいなくなったら……俺は、きっと。