名前:ジャミル・バイパー

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うっとりです

ならなくていい。
……うるさいな、主人が「必要ない」と言っているんだぞ。大人しく従え。
大体、お前みたいな十人並みがいくら努力したところで徒労に終わるだけだろう。なら、その時間を俺への奉仕に使った方が余程有意義だ。違うか?

(遠慮のない物言いに意気消沈しつつ「違わないです」と呟けば、しばらくこちらを見つめていた彼は不意に大きな溜め息を吐いた。)

はあ……お前がどうしても「可愛らしく着飾りたい」と言うのなら、まずはその仕上がりを一番に俺に見せてみろ。
"バイパー家の従者"として外に出しても恥ずかしくない装いかどうか、この俺が直々に判断してやる。……他の連中に見せるのはそのあとだ。
それが約束できるなら……まあ、多少は手を貸してやってもいい。お前に似合いそうな服でも、コスメでも。手配してやる。