ん?コレイ…?どうしたの。お薬の時間はまだだし、見回りとかも要らないよ?


違うんです師匠!その、もし知ってたら師匠に教えて貰いたいことが…!


勉強のこと?・・・ふんふん。妊娠してるかどうかを判別する方法?

どうしてコレイがそんなこと知りたがるんだい?



えっ!?

…えっと、それは〜……そ、そうだ!この前怪我をしたリスを助けたんだ!

けど、なんか様子がおかしいから、もしかしたら妊娠してるのかもって思ったんです!



なるほどね。確かに妊娠中の野生動物は気性が荒くなってるかも。

とは言えぼくも獣医じゃないから…

そうだ…たとえばこんな方法があるよ。簡単だし分かりやすい。


《──ティナリはすぐそばにあった薬学用の鉢から数枚の葉を千切る》

この葉っぱを使うんだ。人ならこれを2〜3枚噛むんだけど、リスならそうだね。半切れで充分。


(・・・?この葉っぱを噛むだけで分かるのか…?はぐはぐ…)


ああ、馬鹿。どうしてコレイが食べるんだよ。すぐに吐き出して?


え?どうしてです?まさか。…ど、毒とか…!?


・・・・・・。

いや、毒とかでは……ないんだけど。

・・・なんともないの?



は、はい!大丈夫です!すぐに吐き出したからなんともないです!(ぺっぺっ)


・・・・・(頭を抱える)

いや。あのねコレイ?その葉に含まれる苦味成分は哺乳類が妊娠期間中に必要とするホルモン物質と形状が酷似しているから、受容体と結合して苦味を感じずに済むんだよ・・・



……じゅよー???えーっと…つまり…。今のがまったく苦くなかったと言うことだから・・・


うん。どう言うことか説明して貰うよ?


〜〜〜!?///あ、あわわ…!いや…!これは…!ですね…!

し、失礼しますー!



こら、逃がさないよ?(がし)

それと、一応言っておくとコレイ。この時期のリスは繁殖期じゃないから妊娠している個体はまずいないよ。ちゃんと覚えておくように。

(…なんとなく相手の想像は付くけど。コレイの身を心配して彼に任せたのはぼくだし、二人の年齢を考えたら目を離しすぎたぼくにも責任はあるのかな…)



うぅ、そうだった…。あたしったらまた肝心なところで勉強不足が出たのか・・・

言われれば思い出せるのに、つい口を出たときはすっかり忘れた…。


って違う!今はそんなことより…



待って。別に怒らないよ。

新しい命を授かった人に伝える言葉は森でも街でも一緒だからね。ひとまず。コレイ、おめでとう。

少なくとも、コレイが望まずにそうなった風には見えないから。君の選択を尊重するよ。



し、師匠…!あ、ありがとうございます…!


うん。とは言えだよ?

コレイの体が心配なのは変わらない。元々ここには静養を取る目的もあって来てること、忘れてないよね?

それに最近はまた病気も進行し始めてたし・・・君の師匠として出来ることはサポートするけど。



〜〜〜(ソワソワ♪)


……はぁ。そうだね。今は小言はやめておくよ。彼のところに行っておいで




(向こうからコレイが跳ねるように駆け寄って来た)
コレイ妊娠した?2