(やっと着いた。……彼、待ちくたびれてないかな)

 鍵を開けて中に入ると、玄関にはやはり自分以外の、見覚えのある靴があった。
 相変わらず脱いだら脱ぎっぱなしのまま揃えないからぐちゃぐちゃだ。しかも片方は靴紐がほどけて、もう片方の靴の下敷きになっている。
「もう」と、ため息をつくようにひとこと呟いて彼の靴を綺麗に整える。しょうがない人、と思いながらも現在、廊下の先の居間で寛いでいるであろう彼の姿を想像して微かに笑みを溢した。
 ○○も靴を脱いで彼のと同様に揃えてから重だるい足を引き摺るように歩き、短い廊下と繋がる居間の扉を開けた。
 ひょこ、とドアの間から頭だけを覗かせるようにして「ただいまぁ」と声をかける、と……、





「おかえりぃ♡」

「……え、……」

 一瞬、他人の部屋に入ってしまったのかと思った。鍵を開けて入ってきたのだから絶対にそんな筈はないのに。
 そこには、煙草を吸いながらソファに腰かける見知らぬ男……と、鼻や口から血を流して床に転がっている○○の恋人がいた。

プロローグ1