【彼の黒い瞳がまっすぐに見つめてくる。薄い笑みを貼り付けたまま何を考えているか分からないその目で私を捕える。
何故か、妙な胸騒ぎと薄気味悪さを覚えながら微かに震える手でりんごをひとつ摘まみ、彼の口元へ持っていく。
緊張のせいか、汗をかき始めた手からつるんと滑り落ちてしまいそうで、指先に力を込めた。
彼の口が開く。
……一瞬、指から食い千切られてしまう嫌な想像をしたが、彼は私の手からりんごを口で受け取った後、普通に咀嚼し、飲み込んだようだった。
ほっと、ひと息つく。】

こんなふうに、あの男とも食べさせっこしたの
【自分に尋ねられた質問だと、最初は分からなかった。ぽつりと呟くように言ったから、ひとりごとのように聞こえた。
私がうんともすんとも返さないでいると、彼は俯いた。】
もう、おれとは話もしたくない?そんなに、おれのことが嫌い?
【とても切なげな声だった。こっちの胸がズキリと痛むような、庇護欲と罪悪感を駆り立てられるような……そんな声。
思わず「めーちゃ……、」と名前を口に出しそうになると、彼はハァと大きなため息を吐いた。】

あーーーあ。○○ちゃんはおれだけの○○ちゃんだったのに
・「
え、」