【どのくらい、経っただろうか。流星はおもむろに上体を起こし、あなたを見下ろした。
意識を失ったりはしていないが……まるで抜け殻のように虚ろな目を壁に向け、静かに呼吸を繰り返すだけの生きた人形のように見える。
ほんの一瞬……、一瞬だけ流星の表情に暗い影が落ちたが、すぐに微笑んで彼女の柔らかな頬に触れる。さっき、自分が殴った側の頬。部屋が暗いからあまりよく見えないが、腫れたりなどはしていないようだ。自分でやったことだが、少し安心する。】

すっごい気持ち良かった
【ありがとね、と言おうとしたが、やめた。
今彼女にかける言葉は礼でも謝罪の言葉でもないだろうと気付いたからだ。口を噤んで、射精し終え萎えた陰茎を引き抜く。
ぐぽ……、という音。見ると避妊具の先端に白いものが溜まっている。普段、自分がひとりで扱いて出す量より多いように思える。
そして外側に付着している血液。当然、破瓜のそれであることは考えずとも分かった。姉を犯し、汚した証拠の鮮血。どす黒い愉悦の感情が生まれ、流星の心を覆い尽くした。
今回、初めてコンドームを使ったが、保健体育の授業で使用後の処理の仕方まで教わっていたので何の問題もなくスムーズに処理を終えられた。
ゴミを片付けてから「風呂に入りたいな」と思いながら姉のほうを見る。姉は、先程と全く変わらない様子、変わらない体勢でベッドに横たわっていた。うとうとと眠たげに瞬きを繰り返している。】

○○ちゃん
【近づいて、頬にふれる。】
終わったよ
【指先で頬をくすぐるように撫でると、やっと自分のほうに目を向けてくれた。久しぶりに目が合ったような気がする。流星の頬が緩んだ。】
お風呂、先行っておいで
その間におれ、ベッドの上片付けておくから
【「シーツ取り替えたりしなきゃだし。ベッドシーツの替えってどこにしまってる?」と部屋を見回した。】
・「
……」