レロッ…
「(なかった。そんなことは全然なかった。
畏れることはおろか、積極的に絡めてくる。
視覚できないところで深く絡み合っているのが、
俺たち二人だけにわかってしまう。
現実離れした感覚が信じられず一度唇を離すと、
確かに味わっていた蘭花の赤い舌が見えた。)」

「(また塞ぐ。
断じて、周りにこの美しい舌を見せたくない。
深い。頭が蕩ける。
いつもより密着するせいか、
熱い鼻息が余分にかかる。
唾液が絡む。
粘るだけで味がないのに異常に美味い。
それは微かに花の蜜のような。)」
ん…んぅ…
「(小動物が甘えるような声を出す。
全てが愛しくてたまらない。
混ざり合い、溜まってきた唾液をどうするのか分かりかねているようだったので、思い切り飲み込んで範を示す。)
ごくん…
「(と蘭花も喉を鳴らす。
そうした作法も即座に吸収していく
。)」