……!


だからこの札を掲げてアピールを……?


……


(一歩、二歩と環くんがゆっくり距離を縮めてくる)


(堅い手つきで両肩を掴まれたと思うと、おもむろに
上半身を引き寄せられた)

(視界いっぱいに彼が着用している制服の白が広がる。
環くんと私の間には拳一個分のいじらしい距離が
ありながらも、すぐそばからは彼の体温を感じ、
まるで直に触れ合っているかのように錯覚してしまう)

(頭上からは環くんの控えめながら震えるような呼吸が
聞こえ、顔を見ずとも彼の緊張が伝わってきた)



……うまく、できているだろうか……。



……君がこういうので良いなら、これからは遠回しなことはせずこうしてほしいと言ってくれ。


……俺だけに。


ほかの誰かが君を抱きしめているところなんか、
見たくも想像したくもないんだ……。