「つぎキリンみるー!」
「こら!キリンの前にご飯にするよ!」
「ユウト、こっちこっちー」
【彼の目線の先には、3人の親子がいた。小学校低学年くらいの男の子。お母さん。お父さん。
3人は近くの休憩スペースに設置されているベンチに座り、テーブルにお弁当を広げ始めた。
たくさんのおにぎりと、カラフルで美味しそうなお弁当。男の子が大はしゃぎして口いっぱいに頬張る。隣に座っているお母さんは、その子の汚れた口元を拭いてあげている】

…
【彼が、唇を噛み締めて、ぎゅっと拳を握ったのが分かった】
・「
……彼方くん」