…
【数学の宿題を解き終わった岸本は、ペンを置き、ノートを閉じた。背を伸ばして首を軽く回す。コキ、と小さな音が鳴る。
部屋の壁を見つめながら、彼は今日の放課後のことを思い出していた。脳裏に浮かぶのはあの少女。】
…(あいつから「また明日」なんて言われたの初めてだったな。どうして今日、急に俺に…)

……(でも、そっか。明日登校したら、あいつ、居るんだ)
【今更、当たり前のことを思う。
明日も今日と変わらず、同じ教室で同じ授業を受ける光景を無意識のうちに想像し、何だか悪くない気分になった。そしてそれは明後日も明明後日も、来週も来月も、きっと変わらないのだろう。クラスメイトなのだから。】