「あんた。今日でお払い箱だから」



――――それは、突然のことだった


 
「妖精と話せるだけなんて
期待外れもいいところだわ!」


「あんたみたいな木偶の坊が冒険者になろうだなんて迷惑よ!大人しく故郷にでも引っ込んでなさい!」


どうして?
なぜ?

疑問は尽きぬまま

頭目であり勇者の彼女の一言により
突き放され一方的に一党の解消を告げられる






「…けど、このまま野垂れ死なれても寝覚めが悪いし。しばらく生活できるお金くらいは渡してあげる」


そう言うと彼女は乱暴に硬貨袋を取り出すと
強引にこちらに手渡す。
その袋はずしりと重



……えっ重……いや、超重い



ぎっしりと中身の詰まった袋には黄金色の硬貨が
ちらりと姿を見せている

しばらく、どころか
十数年は余裕で暮らしていけるような…



「なによ!その不安そうな顔は!
…『こんなに貰って大丈夫なのか?』
余計なお世話よ!」


「あんたがいなくたって
このくらいの額はどうとでもなるってことよ!
そんなこともわからないの!?」


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