…………、

(腕から流れ落ちる赫色を見つめる伯爵)
(見られてしまった、と)
(自ら切りつけたのに罪悪感が込み上げ───)



女王陛下
こちらに


(いつもと変わらない声、表情)
(でも何処か西洋人形のような張り付いた微笑み)
(おずりと近付くと腕を取られ赫い線を暫し見つめた伯爵は)



(───舌を、這わせた)

(伯爵の舌が零れる血液をなぞりねぶる、)
(ビリビリと微弱な電流のような痛み、)
(呆気に取られながら眺めていれば伯爵の赫い舌に血液の赫が交じる)

(傷は、血が流れるのを止め線状に)


跡が、残らないといいのですが

(呟いた伯爵の表情はどこかうっそりとした微笑みを浮かべていた)

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