(わたるの両親主催で大規模なパーティーを開くみたいだ。)

(集まるのは、親戚、友人など。友人枠でこちらにも誘いの声がかかった。)

(場所は和室宴会場。かなり高級なところだ...)


気を張らなくて大丈夫だよ。


君はそのままでいいから。



...もし、君を不快な気分にさせたりした人がいたら、言ってほしい。対処するから。



(ドキドキと緊張が高ぶるなか、わたるに手を引かれ会場に入る)

(開会前なのに、すでに人で溢れ帰っている。)

(上座には、真実似の人・多分父親と、わたる似の美人・多分母親 が座っており、人がくる度に立ち上がり、雑談しながら握手している。)


(事前に聞いていたが、わたるの両親、特に父親は社長で、ものすごく稼いでいるらしい。)


(テレビでみたことのある有名人もちらほらみられる...。)






(すると、肩を叩かれた。)







真実 久しぶりだな。俺のこと忘れてないか。
姉さんも。 

(真実だ。最近は忙しそうで、連絡もとっていなかった。)


わたる 久しぶりだね。元気そうでよかった。わかってると思うけど、ここでは兄さんっていうようにしてね。あれから経営は上手くいってる?大変そうだったけど。


(2人で話し始めた。専門用語が飛び交い、何をはなしているかわからない。)


真実 ...おい、見られてるぞ。そろそろ向こうに行ってやろう。


(途中、こちらに視線を向ける両親の姿が。母親は、驚いた顔をしている。)




(家族団欒を邪魔してはいけないと思い、身を引こうとするとそれを真実が静止する。)


真実 お前も来い。

わたる 真実、無理矢理連れていくのは駄目だよ。...嫌だったら、大丈夫だからね。


(わたるが気を遣ってくれている。が、この会場で1人は気が引ける。今回のパーティーは初参加であるため、両親への挨拶は一応しておいた方がいいか、と思い、ついていくことにした)


父親 元気だったか、わたる、しんじ!と、彼女か?!どっちの?


母親 お久しぶりです。2人とも。ちゃんと連絡はしなさい。特に真実。1ヶ月も音信不通で、心配しましたよ。...あとそちらの方は?



(自己紹介を行う。2人は遮ることなく聞いてくれた。)


父親 なんだ、2人の共通の友人だったのか!こんないい子、なんでもっと早く紹介してくれなかった!まあ、今日は楽しんでいってくれ。


母親 わたるにやっと彼女ができたのかと思いました。この子、一度も女性と交際したことがなくて。おかしいでしょ、ふふ。



(和やかな雰囲気が流れ、安心した。が、わたるは、辛そうな、そんな表情をしている。こちらの視線にきづいたのか、いつものように笑った)


(話が一段落すると、開会の時間になった)

(全員が指定された席につき、両親が開会の挨拶を行う。乾杯の掛け声が響いたあと、各々食事にありつくものもいれば、席を立ち挨拶をしに行く者もみられる。)

(私の席は、右隣にわたる、左隣に真実、前に真実の友人、従姉妹など。若い者同士の席だ)

わたる さて、あいさつ回り、いかないとな。君は待っててくれる?大丈夫、1人にはしないよ。わ...俺が終わるまで、真実に側にいてもらうから。


真実 ああ、確約はできないが一緒にいてやる。任せておけ。


(行ってしまった。)



真実 最近、兄さんの様子はどうだ?

(ブラック企業で心身ともに疲弊しているが、なんとかやっていること、出会った当初よりは、元気になっていることを伝える。)


真実 そうだな、お前と出会ってから、兄さんはいい方向に変わった。俺は自他共に認める鈍感だ。兄さんの些細な変化を、感じ取れないときもある。そんな時に、お前が相談に乗ってくれて、助かった。感謝している。...仕事のことに関しては、俺ではどうしようもできない。それは兄さんが決めることだからな。俺の会社に誘ったところで、きっと断るだろう。


(ふとわたるの方に目をやると、大勢の人に囲まれ、にこにこと愛想よく振る舞っている様子。社長の長男だ、対応によっては社長の顔に泥を塗ってしまうことになる。相当なプレッシャーがかかっているだろう。

真実の友人 お~い。2人で何はなしてるんですか。置いてけぼりなんですけど。

真実 ああ、すまない。こっちの話だ。こいつは、俺と兄さんの共通の友人でな。

(肩に手を置かれる。)

真実の友人 へぇ~。幼馴染?

真実 いや、社会人になってからの友人だな。

従姉妹 ええ~ほんとに友人~??実はどっちかの彼女だったりしてぇ!


(身を乗り出すように話に入ってきた。ギャル風の女性。30代半ばだろうか、酒臭い。)

真実の友人 俺もそれ思った!なかなか兄弟で共通の友人っていねえよな。

従姉妹 真実は彼女いたけど、わたるちゃんは全然そんな話聞かない~。もしかしてわたるちゃんの彼女?!ねぇねぇ、どうなの?


(目を輝かせてこっちをみている。)

真実 いい加減にしておけ。そういう事実はない。


従姉妹 ちぇ~。何繋がりなの??


真実 お前に話す義理はない。


従姉妹 相変わらず冷たいねぇ~。やっぱり一条家はお堅すぎるって。あ、だから言えないのね。りょ~。




お待たせ。

(わたるが帰ってきた。ものすごくつかれた表情をしている。)


従姉妹 あ、わたるちゃんじゃ~ん♡今日もかっこいいね♡いとこじゃなかったらマジでタイプ♡


真実 やめておけ。はぁ、なんでこいつと一緒の席にしたんだ。


(従姉妹はどうやら厄介者らしい。)


従姉妹 私がごり押ししてお願いしたの。いいじゃん、私にとってわたるちゃんは推しなの。年に1回か2回しか会えない推しなの!!


わたる ははは...。


(困ったように笑っている。)


真実 では、行ってくる。あとは頼んだ。


(今度は真実があいさつ回りに行くようだ。)

(何気なくみてみると、真実の周りにはわたるの倍の人が集まっている。すごい盛り上りだ。起業おめでとうとあちこちから聞こえる。)


従姉妹 わぁ~。やっぱり大人気だね、真実は。あの年で起業ってすごいよね。私にはできない。


真実の友人 そうだよね。ほんと、あいつは学生の時からなんでもかんでも卒なくこなしてさ~。才能の塊だよほんと。

わたる うんうん、わかる。真実が3歳ぐらいの時だったかな?かけ算おぼえて、母さんが、ギフテッドだ!!ってよく喜んでたのを思い出すよ。ほんと、兄として誇らしい。


従姉妹 いやいや、わたるちゃんも頑張ってるじゃん。比べちゃ駄目よ。最近お母さんは、なんて?わたるちゃんがお父さんの会社から転職してから、怒ってない?

わたる ...。まぁ、仕方ないですよ。全部俺が悪いから。俺がミスしたせいで、父さんの会社に、大きな損害を与えてしまった。母さんが怒るのも、当然だ。

従姉妹 いいや、わたるちゃんの責任じゃない。部下のミスをかばったんでしょ?自分から。ほんと、お人好しなんだから。

わたる...。


(なにやら、後ろからひそひそと話し声が聞こえる。)

おばさん① ねぇ、さっきの聞いた?
おばさん② 聞いた聞いた。でき損ないの長男の話。今さらそんな嘘言ったってしょうがないわよねぇ。弟さんはあんなに完璧なのに。長男でしょ?なんでミスなんかしたんでしょうね。彼女の1人もいない。もしかして、ゲイなんじゃない?一条家の恥さらし、クスクス...


従姉妹 黙りなさいよ、あんたら。なんにも知らないくせに。

(従姉妹が私の後ろをキッと睨み付けている。)

おばさん① あらぁ~。聞き間違いじゃないかしら?というか、その言葉遣い、何ですか?西園寺家の長女も、地に落ちましたねー。ほんっと、2人ともお似合いですこと。勿論、悪い意味で。

おばさん①② あーはっはっは!!

従姉妹 あんたら、ほんとに...!!


わたる ...姉さん、皆みてるから。一旦落ち着きましょう。



(わたるの静止で、ぐっとこらえた従姉妹は、それからずっと黙り、おばさんを睨み付けながら酒をイッキした)



(人気の真実はそれから席に戻ることなく、わたると真実の友人で世間話をし、閉会時にはなんとか平和にできた)


(真実は閉会後も忙しく、わたると2人で帰ることになった)


...。


(ものすごく疲れている。)


はぁ~。大変だったぁ~。


ごめんね、君も疲れちゃったでしょ。嫌な話も聞いちゃって、ははは...。


ねぇ、...君だけに、言うね。


さっきの、ミスの話、...部下をかばったのは、本当。初めての部下だったから。情がわいちゃって。

わりと大きなミスだったから、責任とって退職した。

後から聞いたら、その部下、私の悪口言ってたみたい。優しいだけの、使えない上司って。


見返りなんて、求めてなかったけど、


...辛かったな。自分なりに頑張って、得た地位だったのに。頑張っても頑張っても、親のコネだって言われて。すごくすごく、辛かった。



あ、また愚痴っちゃった、ごめんね、いつも。


....こんな話できるの、君しか、いないから...。



(人気のない道路、ちからなくしゃがみこんだ。)


(いままで、いろんなプレッシャーに耐えてきたのだろう。)


(わたるの家に泊まり、めいいっぱい甘やかしてあげた)
両親と会う