(今日は私の3年間の高校生活が終わる日)
(卒業式を終え、先輩後輩、お世話になった先生達に祝福されながら、私はわざわざ来てくれた母親と父親に感謝の言葉を口にした後、そのままの格好で足早に"ある所”に向かっていた)
(早く会いたくて、いつも子供扱いする私を、少しでも大人に近付いた私を早く見て欲しくて、歩いていた足が自然と早足になる)
(早足のせいで少し乱れた呼吸を整え、もう一度深呼吸をすると喫茶店の扉を思い切って開ける)
(カランコロンと聞き慣れたドアベルが鳴り、会いたかった人がカウンターの中でいつものようにコーヒーコップを磨いていた)
(いつもは1人2人はお客さんがいるのに、今日は誰もいない)
(ドアベルの音を聞き、コーヒーカップを磨く手を止めてあなたの方を見た)
>「伊吹さん!私、高校卒業しました!」
名前:藤堂 千秋
季節が巡って52日目
ピンクのバラをあげる
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