(寮に帰宅途中に背後から声をかけられ振り向くと、見知らぬ生徒が立っていた。腕章はオクタヴィネルのものだけど、見覚えが全くない。そもそも生徒数が多すぎて全員を覚えるのは無理なのだけど。
ジッ、と見つめるとほのかに頬を染めた彼は躊躇いながら口を開く。出てきた言葉は所謂愛を伝えるもので、付き合ってほしいとか言ってた気がする。知らない人だし、私には…と思って典型的なお断りの返事をする。悪いな、とは思わない。いい返事がもらえるなんて考えてもいないだろうし。
なのに彼はショックを受けたような顔をして食い下がってくる。面倒くさい…と半歩足を下げると背中がなにかにぶつかった。)
貴男には僕の忠告が届かなかったようだ。まったく………嘆かわしい。
オクタヴィネル寮の汚点だ。理由は、貴男自身がよくご存じでしょう。
しかし幸運ですよ。先生方はまだなにも知らないのですから。
これから先も彼らが知ることはないでしょう。僕からの最後の慈悲です。
──あとのことは知りませんよ。
(アズール先輩に肩を抱かれて歩かされる。背後からはフロイド先輩とジェイド先輩の声がして、そこから先はなにも覚えていない。いつの間にか寮にいて、お風呂に入ってご飯を食べてベッドの中にいた。)
告白されているところを目撃される