それでは、お勉強がてら。

「炎と雪。これはわかりやすいと思いますが、炎の属性が強いと情熱的に、雪の属性が強いと冷静になります」

「アザゼルは、この二つの属性をバランスよく、比較的少量持つ種族……」

「偏りの少ない種族ですね」

「たくさんの属性値を持つほど強い……とも限りません」

「堕天メンは、堕天の乙女の精気を吸って強くなるのです。……それに属性値が必須かと問われると、そうではないでしょう。その身に宿らせられる属性値には限界もありますしね」

「堕天メンが人間界に現れるようになって間もなくから、堕天の乙女に精気をもらい続けている妖魔と……、そうですね、もし今愛様がベルゼブブになったとして」

「……果たしてベルゼブブの愛様に、長年精気をもらい続けた妖魔は敵わないのでしょうか?」

「………………」

「属性値だけではなく、経験も大切です」

「そして、いかに堕天の乙女の精気を受け取っているかも、魔力を左右させるでしょう」

「……属性の話からは少々ずれてしまいましたね、戻りましょう」

「風は、目に見えないものです。……風というのは、枠にとらわれない、自由とも呼べるのかもしれません」

「それと対になるのが土。……大地に足をつけて立つというのは、大人の証とも言えるのかもしれませんね」

「まぁ、悪魔というものは人間と異なり、翼がなくとも魔力で浮かぶことはできますので……、人間的な概念になるかもしれませんが」

「いわゆる大人っぽい種族は、土の属性が高いですよね」

「……私は低いですが……」

「次に、電と石。……これはわかりやすいと思います。攻撃と守りですね」

「電の属性は攻撃、石の属性は守りを高めます」

「どちらも、乙女を守るとしたら大切な属性と思いますよ」

「……そういえば私、夜叉もマンモンもオーガも持っていませんね……」

「俺も持ってないよ」

「そーいや僕も持ってないねぇ」

「あくまでその傾向があるってだけでしょう? 絶対的ではないし、そんな気にしなくても」

「そ、そうですね」

「ええーっと、あとは……、花と獣かな?」

「そうですね。こちらもイメージはつきやすいと思いますが、花は華憐さ、獣は野性味を高めます」

「女性性と男性性……といった方がわかりやすいでしょうか?」

「無論、花を極めることで堕天メンが女になる……わけではないのですが」

「メフィストはともかく、獣がかなり必要なグリフォンが男らしいのかって言うと別にそうじゃないとは思うね」

「あくまで傾向、だよ」

「アザゼルみたいに、相反する属性を高める種族も多いわけだしね」

「まぁ、一つの参考にしてくれるといいのかな?」

「特定の属性を上げたいって思った時は、頭の片隅にでも置いておくといいのかも……」

「いやぁ……、こいつらの言ってることわかりました? あなたさん」

「別に、わからないならわからないでも問題はないと思うけどな」
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