(少し歩くと、どこかの駅前に巨大なクリスマスツリーがあった)

(幸い、今は人通りも少ない。ここでキスしてしまおうか)

(プレゼントのグロスを使おうとしたものの、手がかじかんで上手く動かせない)

(と、そっと愛が手を重ねてきた)



「あ……、あなたの手、冷たくなっちゃってます……」


(対照的に、愛の手はあたたかかった。悪魔は寒さもへっちゃらなのだろうか)



「…………僕があなたの唇に塗っても……、いいですか…………?」


(愛が……? 恥ずかしかったが、愛も渇いているだろうし、早くプレゼントのグロスを使ってみたいのも事実だ。了承することにした)



「…………」


(愛がグロスを塗ってくれる)

(グロスは、とても冷たかった。凍えそうですらある)

(でもだからこそ、より愛の熱がほしくなった)



「こ……、これで、いいでしょうか…………」



愛……
2023クリスマス12