(少し歩くと、どこかの駅前に巨大なクリスマスツリーがあった)
(幸い、今は人通りも少ない。ここでキスしてしまおうか)
(プレゼントのグロスを使おうとしたものの、手がかじかんで上手く動かせない)
(と、そっと愛が手を重ねてきた)

「あ……、あなたの手、冷たくなっちゃってます……」
(対照的に、愛の手はあたたかかった。悪魔は寒さもへっちゃらなのだろうか)

「…………僕があなたの唇に塗っても……、いいですか…………?」
(愛が……? 恥ずかしかったが、愛も渇いているだろうし、早くプレゼントのグロスを使ってみたいのも事実だ。了承することにした)

「…………」
(愛がグロスを塗ってくれる)
(グロスは、とても冷たかった。凍えそうですらある)
(でもだからこそ、より愛の熱がほしくなった)

「こ……、これで、いいでしょうか…………」
愛……