えっと、もうじき7月じゃない?



「7月といえばなーんだ」


「僕とあなたが出逢った月……です!」


「あなた覚えてた?」


「お……、覚えてくれています……よね?」


「……まぁ、いいや」


「突然で悪いんだけど、愛ちょっと借りてくね」


「具体的に言うと、2025年7月1日~2025年7月13日は、愛と話せないと思って」


「えっ……?」


「愛も人間界に来て2年になるでしょ?」


「そのわりに……、経験あんまり積めてないみたいだし」


「それは……」


「別に責めはしないよ。僕ら魔王様じゃないし、愛に魔王になれと強制するつもりもないし」


「堕天メンが人間界で経験を積むには、堕天の乙女のサポートが不可欠……」


「と言っても、あなたを責めるつもりも別にないよ」


「あなたが愛を適切にサポートできないのは……、そのサポートをする僕ら……っていうか、うちの乙女の責任なんだろうし」


「もーちょっと愛を育成するのに楽な方法がないか、ちょっと探りたいなと思って」


「まぁ、あなたも24時間ずっと愛と一緒にいるわけじゃないのはわかってるし、あなたと一緒にいない時間狙ってできればいいんだけど」


「契約者の乙女は同じでも、愛は別の乙女……あなたに魅入られてるわけだし。事前に引き止めとかないと愛、あなたに呼ばれたらあなたのもとに行っちゃいそうだし……」


「こーして事前にお知らせに来たって感じ」


「そうなん……ですね」


「えと……、その間、僕はあなたに会えないんでしょうか……?」


「まあ。そりゃ、ね」


「一応愛の人間界における誕生日……そして、あなたと出逢った日は、愛があなたと過ごせるようにしたいと思ってるよ」


「あなたも協力してくれるでしょ?」


(……正直、こうして愛と共にいる以上、協力しないという選択肢はないとわかっている)



「ありがと! じゃあ、これあげる。メンテグロス」



メンテグロス?
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