(シュン、と、突然、別の男が現れる。……人間に見えるものの、人間ではないようだ)

「あ……、えっと、こんにちは。俺はタダシっていいます。次期魔王候補である悪魔、堕天メン(ダテメン)です」
(堕天メン――。ニュースでも聞いたことがある)
(大昔、この人間界と、悪魔が棲む魔界を繋ぐ門は固く閉ざされていた)
(しかし、ある時、人間界に遊びに来ていた悪魔が人間の娘と恋に落ちた。やがてその悪魔は魔王となり、人間界と和平を結んだそうだ)
(今の魔王が、魔王となって数千年が経つ。魔王は、ここ十年ほど前から次期魔王候補を捜しているそうで、その素質がある悪魔が“堕天メン”というらしい)
(そして、堕天メンに魅入られた人間が“堕天の乙女”と呼ばれるとも……)

「ジ――――――――…………」
(……ところで、視線が痛い)

「そっちの子も、同じく堕天メンで、愛っていいます」

「俺たちは同じ堕天の乙女のもとにいて、彼はまだ召喚されて日が浅いのですが……。突然、探索から帰ってこなくなっちゃって」

「みんなで捜してたんですが……」

「…………タダシくん……」
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