愛……です。よろしくお願いします……。


(ようやく改めて自己紹介された)

(愛はぺこりと頭を下げる)



「で、軽く紹介が済んだところで聞きたいんですが……」


「どこから拾ってきたのよ、この方」


「タダシくんがお家で話そうと……」


「連行しろとは言ってないんだけど……」


「なんかねぇ。この方の魂の香りが気になっちゃったんだって」


「おかしいな、まだインキュバスどころか何も種族取得させてないのに」


「インキュバスが浮気性みたいに言われるのは心外……」


「キスだってまだしてないのに」


「だいたいねぇ、乙女のせいじゃないの?」


「え、すなちゃんと違って放置はしたことがないはず……」


「はー、その話は今しなくていいでしょ?」


「俺いつも言ってるよねえ? 悪魔召喚の儀を誤ると大変危険だと」


「僕も1回目の改名前に忠告してたと思うけどー」


「え、間違え……!? で、でもいつものようにシロアさんのそばでやったのに……!?」


「シロアさんだって完璧じゃないでしょ……。……特に、細かいミスをしたから、この程度で済んでると思うよ」


「本格的に間違えたらそれこそ……」


「……愛くんから、敵意は感じないけどね」


「そだね。そういう気配は一切ない」


「それは私も感じております」


「俺も……」


「俺も別に……、鏡さんらが初めて来た時と同じ妖魔の気しか感じないけどね」


「……“自分の堕天の乙女以外の人間の魂の香りに惹かれてしまう”ってだけで済んでるみたいだね」


「そ、そういうこともあるのか……」


「ま、ほんとこの程度で済んでよかったけど」


「で、えっと……、私は、どうすればいいのだ?」



プロローグ10