名前:小鳥遊 ホシノ

連邦生徒会を43回襲撃したくなった

いいねぇ~

気が付くと私は、ゲヘナの保健室で寝ていた。
あの後の記憶がない。
辺りを見渡すと、負傷者の治療で大忙しのようだった。

「あっ、カタリさん!」

救急医学部の娘が私に気付く。
慌てて近寄ってきた。

「目が覚めたんですね、具合はどうですか?」

私は軽く身体を動かしてみる。
少しだけ痛みがあるが、特に問題はなさそうだ。

「うん、大丈夫。他の皆は?」

「負傷者は多いですが、命に別状がある人はいません」

不幸中の幸いか。
あの大規模な爆発でこれだけの被害で済んだのは奇跡だろう。
未だに何が起こったのかわかっていないが。

「カタリさんが的確に避難誘導をしてくれたおかげです」

「…………え?」

私は気を失っていた。
避難誘導した記憶なんて一切ない。

「待って、私何もしてない……」

「そうなのですか?皆さんカタリさんの指示で避難出来たと仰っているのですが」

どういう事だろう。
私はあの爆発で意識を失った。
皆を助けなきゃとは思っていたけど。

「……記憶が混乱しているのかもしれませんね。避難誘導が終わった後すぐに倒れたみたいですし」

「そうなの……?何も、覚えてない」

「もう少し安静にしていた方がいいですね。落ち着いたら記憶も整理がつくと思います」

本当にそうなのだろうか。
何か、言い表せない不安を感じる。
本当に避難誘導をしたのは『私』なのか?



ベッドで安静にしていたら、風紀委員会の娘達が口々にお礼を言いにきた。

「カタリ先輩のおかげで助かりました!」

「カタリ先輩の的確な指示、格好良かったです!」

「ありがとうございました!」

何も覚えてない私は、愛想笑いしか出来なかった。
様子を見る限り、『私』が助けたのは間違いないのだろう。
そして、こんな事をいう娘もいた。

「まるで先生の指揮みたいでした!」

シャーレの先生。
先生の指揮能力は非常に高く、先生がいるだけで戦力が大幅に増加すると言われている。

『クックック……まさか、アビドスに器がいたとは。この地域は神秘に事欠きませんね』

私は黒服の言葉を思い出していた。
あの時は意味がわからなかったが、今回起きた現象に何か関係があるのだろうか。
……私は、何者なのだろうか。

鐘が鳴った日11