1月2日。
世間一般的には正月の三が日である。
しかし私にとってその日は重大な意味があった。
「……小鳥遊ホシノの誕生日?」
「そうなんだよ!」
私はヒナと歩きながら話していた。
もう年末ではあるものの、毎日のように風紀委員の仕事に追われている。
「その日はアビドスに行くのね。わかったわ」
「アビドスの子達が誕生日パーティーするみたいだし、ヒナも一緒に行こうよ!」
「私が?」
アヤネちゃんから私は誕生日パーティーに誘われていた。
勿論参加するつもりではあるが、是非ヒナも一緒に来てほしい。
ヒナは列車砲絡みの騒動の時にホシノと友達になったから。
「……外部の人間が行ってもいいのかしら」
「それを言ったら私も駄目でしょ。ヒナはホシノの友達なんだから、歓迎されるよ」
実際アヤネちゃんにもヒナの参加について聞いたら、『是非参加してください』と返信貰った。
私もホシノとヒナが話してる所見たいし。
「……そうね。じゃあその日は一緒にアビドスに行きましょうか」
「やったー!楽しみだね!」
「ええ」
ホシノの誕生日に参加してくれるのも嬉しいが、これで少しでもヒナを休ませられるなら一石二鳥だ。
ヒナは普段から働きすぎだし、正月くらいはゆっくりしてほしい。
……ヒナが信じられないくらい強いから、頼っちゃうのも仕方ないんだけど。
「誕生日プレゼントどうしようかなぁ、何がいいと思う?」
「私に聞かれても……貴女の方が詳しいでしょう」
「それは、そうなんだけど……」
何を贈れば喜ぶんだろう。
クッションとか寝具系でいいのかな。
「小鳥遊ホシノの好きな物でいいと思うわ」
私の記憶だと、ホシノは鯨が好きだった。
ユメ先輩と共に買い物に行った時、鯨の絵が描かれている物を熱心に見ていたのを思い出す。
ただ問題は私の記憶は捏造された物という事。
これが正しい記憶なのだろうか、間違っていたら怖い。
「……鯨のグッズとかにしようかな」
「小鳥遊ホシノは鯨が好きなの?」
「うん。鯨見てる時のホシノはめちゃくちゃ可愛いよ」
それでも信じよう。
私は後から入った存在と言っても、明確に違う記憶は作られない筈だ。
「ところでカタリ。貴女の事なんだけど」
「お、珍しいね。私に何か聞きたい事でも?」
私の言葉に少しだけヒナは迷ってるように見えた。
何かまずい事なのかな。
「……貴女の誕生日って、いつなのかしら」
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