名前:小鳥遊 ホシノ

連邦生徒会を43回襲撃したくなった

いいねぇ~

「『器』について説明する前に、いくつか質問させて頂きますね」

黒服は私にソファへ座るよう促す。
長くなりそうな気がしたので、素直に座った。

「まず一つ目。貴女は何故風紀委員会で役職についていないのです?」

予想外の質問だった。
そんな質問が何の関係があるのだろう。

「……私は転校生だし、戦闘力も高くないから」

「ですが人望はある。役職に一切ついてないのは変ではありませんか?」

何が言いたいのかわからない。
だけど黒服の言う通りではあるので、私は黙った。

「……では次の質問です。貴女はアビドス生徒会に入ってなかった。何故でしょうか」

「それは……ユメ先輩が本気でアビドス再興しようとしてるのに、私みたいな人間が入る訳には……」

「貴女は梔子ユメが死亡するまでアビドスに居続けた。生徒会に入らない理由はなかったのでは?」

それもそうだ。
何故私は頑なに生徒会入りを拒み続けていたのだろう。
もし私が入っていたらあんな結末は迎えなかったかもしれないのに。
答えられず、沈黙する。

「……では最後の質問です」

こんな質問に何の意味があるのか。
私がたまたま答えられない事を聞いて、虐めたいのか。
さっさと器について教えてくれればそれでいいのに。

「貴女、中学校に通っていた記憶はありますか?」

「そんなの当然──────?」

ある、と答えようとした所でおかしなことに気付いた。
……私、何処の中学校出身だ?
アビドス中学校か?
ネフティス中学校か?
言われてみたら、記憶が抜け落ちている。
中学校どころか、それ以前の記憶が思い出せない。

「……無いでしょうね。そこまで貴女は練られていませんから」

「どういう、事?」

練られていない、とは何だ。
覚えていないとかならわかるが。

「貴女の正体に関わる事です。……本当に聞きたいですか?」

黒服が念を押してくる。

「……当然でしょ。その為に私はここに来たんだから」

もう引き返す気はない。
ここまで来て、何も聞かずに帰るなんて出来る訳ないのだから。


夢を描いた魔法2