名前:小鳥遊 ホシノ

連邦生徒会を43回襲撃したくなった

いいねぇ~


「さっすがアルちゃん!で、どうやって?」

「ふふっ、こういう時はね。呼びかけるのが一番よ!」

「…………」

便利屋の会議をヒナは黙ってみていた。
そんな彼女にアルは声をかける。

「ヒナ!まさかヘイローを壊すつもりだったとか言わないわよね!」

「……それは」

「例え確率が低かろうが、友人を助けるのは当たり前でしょう!」

確かにヒナはヘイローを壊す事も考えていた。
それが一番確実であり、被害を抑えられるからだ。
風紀委員長として、ゲヘナを守る当然の選択肢。
しかしヒナにとってヘイローを壊すのはあくまで最後の手段。
カタリを助けたいのはヒナも一緒だ。

「ええ。カタリを助けましょう」

「……でも、どうすればいいのでしょうか」

ハルカが不安を漏らす。
少しずつカタリは進んでいる。
あまり時間をかければ、莫大な被害が出る可能性がある。
しかし接近は出来ないという状況。

「……説得の方針で行くなら、足止めしつつ声掛けするしかないね」

「くふふっ、じゃあ足止めはムツキちゃんにお任せ~」

「わ、私も頑張ります!」

「ハルカとムツキは近付かず、爆弾だけで足止めをお願い。社長と風紀委員長は……距離を保ちながら、声をかけよう」

これが現状では最善だろうが、逆にそれ以上の事が出来ない。
何をすればカタリが元に戻るのかわからないから。
出来る限りの努力はするつもりだが、仮にその努力が実らなければ。
最悪の選択肢を選ぶ事もカヨコは頭の隅に置いていた。

「心配する必要はないわ、カヨコ」

「社長……?」

「カタリは戻ってくる。絶対によ!」

自信満々の宣言。
根拠はないのかもしれない。
それでも、信じられる言葉だった。

「行くわよヒナ!」

「ええ、行きましょう」

アルとヒナは出来る限り接近する。
沼には入らないように慎重に。

「カタリ!目を覚ましなさい!」

まずアルが声を掛けた。
しかし彼女は何も反応を示さない。

「カタリ……!こっち!」

注意を向けるためにヒナは威嚇射撃をした。
それでもカタリは反応を示さず、ただ前へ進む。

「もっと近くに寄りたいわね……!」

「駄目よ、沼に飲まれる」

ヒナの翼なら少しだけ空を飛べるが、もし反撃されたら危険だ。
沼に落ちれば助からない。
例えヒナであろうとも。

「呼び掛け続けるしかないわね」

夢を描いた魔法後編3