名前:小鳥遊 ホシノ

連邦生徒会を43回襲撃したくなった

いいねぇ~


私はゲヘナに帰った後、あの場所にいなかった皆にも事情を説明した。
幸いな事に私を拒絶する生徒は一人もいなかった。

「はぁ?そんな事気にしてたんですか?」

アコには呆れたように言われ、

「先輩は先輩でしょ。今日パトロール付き合ってよ」

イオリは全く気にしておらず、

「……難しい話ですが、私はカタリ先輩がいなくなると困ります」

チナツも私を受け入れてくれるようだった。
他の風紀委員達にも説明したが、私を拒否する子はいない。
これで風紀委員会に在籍したままでいられる。

次に私は万魔殿にも事情を説明しにいった。
だが、情報部の力かもう既に私の事情は知っていたようだ。

「くだらん、お前の正体などどうでもいい。そんな事よりイブキが遊びたがってたぞ」

マコトはそう切り捨てた。
……イブキと遊んでいいという事は、ここにいていいんだろう。

「私は特に気にしませんので、今まで通り来て頂ければと」

イロハは話を聞いて理解したうえでそう言ってくれた。
抱きつこうとしたら避けられたが。

「よくわかんないけど、イブキはカタリお姉ちゃんとこれからも遊びたいなー!」

イブキは天使だ。
屈託のない笑顔で癒してくれる。

「それってある意味催眠よね。やっぱり私のNKウルトラ計画に協力しない?」

サツキの誘いは丁重にお断りした。
私自身は催眠そこまで信じてないし。

「そんな事より今日も写真撮らせてくださいよー!」

しばらくチアキの撮影に付き合ってあげた。
皆いつもの態度から変わらずに、万魔殿からも私の存在は認められたようだ。

その後もいろんな人に事情を説明した。
あの時いなかったジュリやエリカにキララ。
そして救急医学部や温泉開発部など。
私を拒絶する者は誰もいなかった。

「……優しい人ばかりだなぁ」

過去は過去、という考えが多いのだろう。
私にとって過去は大事な物であり、それが捏造された物だというのは嫌だった。
だって過去にしかユメ先輩はいないのだから。
あの電車の中でユメ先輩と出会い、捏造された記憶を肯定して貰ったから立ち直る事が出来た。
それが無ければ今頃私はここにいなかったかもしれない。

「先輩……今度こそ約束果たしますね」

ホシノを託された。
転校してしまった後だが可能な限りアビドスを手伝い、ホシノを支えよう。
それが私の使命だから。

だが問題もあった。
ホシノは私が見た限り、今でもユメ先輩を引きずっている。
私と同じだ。
そんな時に私の過去は捏造だったと言ったら、まずい事になる気がする。
いつかは告げないといけないが、言うタイミングは考えないといけない。

「……今はまだ、私は元アビドスの土御門カタリ」

ホシノがユメ先輩の死を乗り越える事が出来たら、その時に言うべきだろう。
どんな反応をされるかわからない。
嫌われるかもしれない。
それでも今度は逃げるつもりはなかった。
ユメ先輩に託されたのだから。

「……よーし、今日もアビドスに遊びに行こうかな!」

それまではこの関係を続けよう。
元アビドスである事を騙り続け、ホシノが未来を見れるまで。
その時になったら私はどうなるかわからないけど。
もし許されるのであれば、ホシノと関わり続けたいと思う。
それがユメ先輩の願いであり、私の望みでもあるから。



Vol.3『夢を描いた魔法』~fin~
夢を描いた魔法後編11