名前:小鳥遊 ホシノ

連邦生徒会を43回襲撃したくなった

いいねぇ~



───迂闊だった。
その日は外から本の搬入もあり、古書館の鍵を開けていた。
作業が終わり次第締める予定だったが、立て込んでいて忘れてしまっていた。
今日は一人でゆっくり本を読む予定だったのに。

「すみませーん」

扉を開けて外の人間が入ってくる。
私は焦りながら、その人間の姿を見る。
ピンク髪に白い翼、手首にシュシュをつけている彼女。
それはトリニティの有名人だった。

「……ティーパーティーが何の用ですか」

ティーパーティーの一人、聖園ミカ。
トリニティの上層部だ。
古書館に来る事なんて滅多にないのに、
なんでよりにもよって閉め忘れたタイミングで。

「今日はティーパーティーとか関係無しで、本を探しに来たの」

「本を……?」

彼女はこちらへ近付いてくる。
何の躊躇もなく距離を詰めてくる様子に、思わずたじろいでしまった。

「図書館の人に聞いたら、こっちにしか無い本って言われちゃって」

「……その本のタイトルは、なんです?」

「これなんだけど」

近すぎる距離感に慣れず、私はさっさと用件を済ませる事にした。
貰った紙に目を通す。
そこに書かれているタイトルに、私は少し驚いた。

「……この子は」

昔に出版された童話だ。
今は絶版されており、知っている人も少ない。
ティーパーティーの人間というからには、もっと昔の資料などを要求してくるのかと思っていた。

「……ちょっと待っててください」

私は席を立ち、この子がいる場所へ向かう。
彼女が探している子を取り出し、また席まで戻って来た。

「こちらです。大事に扱ってくださいね」

「わぁ、ありがとう!」

笑顔が眩しい。
私のような陰の者には見ていられない。

「ここで読んでっていい?」

「……あちらの席でどうぞ」

「えへへ、ありがと!」

彼女はお礼を言い、テーブル席に腰かける。
そのまま先ほど渡した子を読み始めた。
私はその様子を横目で見つつ、自分も元々読む予定だった本を読み始める。

古書館の出会い1