店を出て室内階段の方を見る。
複数人が階段を駆け上がってくる音が聞こえた。
「皆さん、向こうの非常階段に!」
状況がわからないが、ハルカちゃんもいる以上ムツキちゃんやアルちゃんもいるだろう。
つまり依頼関連でもめ事である可能性が高い。
それなら階段から上がってくるのは恐らく敵だろう。
「待て!逃がさんぞ!」
階段から上がってきた傭兵は銃を構えた。
私は応戦しようと咄嗟に構える。
「ハルカ!」
カヨコの声と同時、私の横を通ってハルカちゃんが傭兵に突っ込んでいった。
ショットガンを乱射し、一瞬で傭兵たちを制圧する。
「カタリ、こっちはハルカに任せて」
「わ、わかった!」
私は非常階段で客たちの後ろについていくことにした。
外に出ると、まだ傭兵達はいないようだった。
急いで避難しようとしたが、先頭の客が1階に着くころには傭兵達が階段の前に立ちふさがる。
「逃げられるとでも思ったか!」
「くっ……」
ハルカのおかげで追手はないから、前だけ突破すればいいんだけど。
私が前に出ようと階段から飛び降りようとした所で、傭兵の一人が頭に銃弾を撃ち込まれて倒れた。
「ぐあっ!?」
「そ、狙撃だ!」
狙撃の方角を確認すると、ビルの上にいる人影に気付いた。
アルちゃんだ!
傭兵が混乱した隙に中心に鞄が投げ込まれた。
その鞄が大爆発し、傭兵たちを吹っ飛ばす。
「あははっ、ポップコーンみたいっ♪」
「ムツキちゃん!」
「ほらほらカタリちゃん、今のうちに離れなよ~」
ムツキちゃんが笑いながら現れた。
やっぱり来てたんだ。
「ありがと!皆さんこのまま走ってください!」
ムツキちゃんにお礼を言い、お客さん達を誘導する。
どういう依頼があって便利屋が来たのかはわからないが、今は全員を避難させる事が優先だ。
落ち着いたら皆に事情を聞かないと。
→