カヨコが席を外している間、店内を見回っていると会計で揉めている所に出くわした。
「なんだこの代金は!高すぎるだろ!」
「はぁ、お支払い頂けないのですか?」
「当たり前だろ!10万超えてるじゃないか!」
10万円?
そんな高いメニューはなかった筈だけど。
奮発したら1万ぐらいは使っちゃうかもしれないけど、10万は明らかに異常だ。
「メイドの指名には料金を頂くってご説明しましたが?」
「それでも指名料は数千円とかだろ!」
「メイドと会話出来るんだから、10万程度安いでしょう?」
いやおかしい。
そんなメイドカフェ聞いた事はない。
「どうしてもお支払い頂けないのであれば、こちらも強硬手段に出ますが?」
店長の後ろからオートマタが5人現れる。
一斉に客に向かって銃を構えた。
「うわっ、脅迫か!?」
「私どもは料金通りのご案内をしてるだけです。文句をつけてるのはそちらでしょう」
「……くっ、わかった。払えばいいんだろ!」
「待ってください!」
あまりの横暴さに見てられず、私は間に入った。
「私も料金設定がおかしいと思います、これはぼったくりですよ!」
「ああ?高いバイト代払ってやってるだろうが。お前は黙ってろ!」
「痛っ!」
店長に突き飛ばされ私は倒れそうになる、が誰かに支えられた。
後ろを見ると、カヨコが私を支えてくれている。
「怪我はない?」
「うん……ありがとカヨコ」
「下がってて。そっちのお客さんもこっち来て」
「あ、ああ……」
カヨコは私と客に隠れるよう指示を出してくれた。
私はお客さんを近くの物陰まで連れて行く。
その様子を見て店長とオートマタ達は入口を封鎖するように立った。
「情報通りだったね。法外な値段を請求しているメイドカフェがあるって」
「可愛いメイドと話させてやってるんだ、多少高いぐらいで文句言うんじゃねぇよ!」
「……私は言うつもりないけどね。これも仕事だからさ」
カヨコがそう呟くと同時───入口が爆破された。
「う、うぎゃああああ!?」
爆破の衝撃でオートマタが吹っ飛び、同時に入って来た子がショットガンを残ったオートマタと店長に乱射する。
「お、お待たせしてすみませんっ……!」
「ハルカ、いいタイミングだよ」
「ハルカちゃん!?なんでここに!?」
私だけ状況が理解出来なくて、混乱する。
そんな私にカヨコが声をかけてきた。
「カタリ、後で説明するから今は避難して」
「……わかった。皆さん、こちらへどうぞ!」
カヨコの事だから何か事情があるのだろう。
私は残ったお客さんとバイトのメイドに声をかけ、避難誘導を始めた。
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