「お願いします!今日だけ私のお嬢様になってください!」
「ええ……?」
私の提案を聞いたカヨコは戸惑っているようだった。
無理もない。
急にこんな事を言われたら誰だって戸惑うだろう。
「まずは説明からしてよ。なんでメイド服着て外にいるのさ」
「うん、何があったか説明するね」
そう、私は今超可愛いメイドなのだ。
たまたま即日で働けるメイドカフェがあったので、応募したら採用された。
春葉原にいるメイドカフェで友人と一緒にバイトした事もあるからね!
それでお客さんの呼び込みをやってほしいと言われ、見つけたのがカヨコだった。
「……という訳なんだよ。お願いカヨコ!お金は私が出してもいいから!」
「なんでそこまで必死なのさ……」
「私が担当するから!カヨコに無理強いしないからさ!」
「今無理強いの真っ最中なんだけど」
カヨコがメイドカフェにいる様子を見たいからというのもあるけど。
専属で相手するのなら知っている顔の方が私はやりやすいんだよねぇ。
「それにD.U.にメイドカフェなんてあるの?」
「上司の人は最近出来たって言ってたよ」
そう、このメイドカフェは春葉原ではなくD.U.にあるのだ。
出来て一ヶ月も経ってない。
「……そのお店ってさ、どの辺にあるの?」
「あ、興味ある?場所はね~」
私は渡されたビラに書かれている地図を見てカヨコに説明する。
カヨコは少し考える仕草をした後、スマホを弄り始めた。
「……成程ね。ちょっと待ってて」
指の動きから見てモモトークっぽい。
画面を覗かないように私が少し離れて待ってると、カヨコは顔をあげた。
「……わかった、行くよ」
「え……本当にいいの!?」
「いいよ。カタリが接客してくれるんでしょ」
先ほどまで嫌がっていたのに。
何かあったのかな。
「カタリなら大丈夫だと思うけど、私が行かないと変な人に声かけるかもしれないし」
「あ、心配してくれるんだ。優しい~」
「放っておくとたまに暴走するからね」
その言葉には何も言えない。
カヨコだけじゃなくて色んな人に迷惑かけたことあるから。
「ではお嬢様、ご案内致しますね」
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