名前:小鳥遊 ホシノ

連邦生徒会を43回襲撃したくなった

いいねぇ~

眠れないまま、気が付いたら外は明るくなっていた。
学校に行くならそろそろ準備しないと間に合わない時間だ。
だけど、身体が動かない。
今までは楽しみにしてた学校生活に、向かおうという気力がない。

『ごめんホシノ』

『私はもう無理』

モモトークを使い、ホシノに謝罪のメッセージを送る。
返信は早かった。

『そうですか』

『メールで構わないので、書類だけは提出してください』

『転校手続きはこっちでやりますから』

私に対する恨み言も何も無かった。
ただ彼女は必要な情報だけを伝え、それ以降はメッセージを送ってこない。

ホシノはまだ残るつもりなの?

送信しようとした所で、手が止まる。
これは駄目だ。
せっかくホシノが最低限のやり取りで済ませようとしてるのに、余計な事を聞いちゃいけない。
私はもうこの学校から去るのだから。

ホシノは恐らく、一人でもアビドスの復興をするつもりだろう。
彼女は意志も、武力も、何もかも強い。
私なんていなくても、彼女ならきっとなんとかしてくれる。

それに、ホシノは私の事はすぐに忘れるだろう。
以前転校した人が何をしているか話題にした時、

「誰ですか、それ」

そう一蹴された事がある。
冗談を言う娘ではないと知っているから、本気で忘れていたのだろう。
去った人間の事など、彼女は気にせずに過ごせる筈だ。




私は一週間程休み、体調が落ち着いたタイミングで転校手続きに必要な書類をパソコンで作り、ホシノ宛に送った。
急な転校手続きにはなったが、ゲヘナ学園が転入を受け入れてくれる。
治安は少し心配だが、死ぬような事はない、だろう。

『手続きは終わりました』

ホシノの仕事は早かった。
書類を送った翌日にはもう手続きを終わらせてくれたのだ。

『ありがとう、迷惑かけてごめん』

『仕事ですから』

淡白な返信は変わらない。
だから私は迷わないでいられる。
ホシノが、いつものように接してくれるから。

もしもホシノが弱音を吐いていたら、私はここに残ろうと決意出来ただろうか───いや、たらればの話は無意味だ。
それに、私が逃げるだけの理由にホシノを使うのは違う。
私は、私の身が可愛いから逃げるだけなのだから。

ここに至るまで3