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(3度目の人生。今度こそ万次郎を救ってみせると心に誓ったあなたは、目が覚めると着の身着のまま、すぐに家を飛び出した)
(息を切らして走りながらも、入院していた頃に二人で交わした会話の断片を思い出す。確か万次郎は、家が道場なのだと言っていたはずだ。一度も行ったことは無かったが、他の誰かからも世間話の一環として聞いたことがあった気がする。───『あの家の子、不良ばっかりなんですって』。……もっとも、その相手はあまり良い感情を持っていないように吐き捨てていたが)

(そうして何度目かの角を曲がり、突き当りまで駆けたところで目に飛び込んできたのは──いかにもな門を構えた『佐野道場』と、その奥に開かれた間で飛び蹴りを繰り出す一人の少年の姿だった)

(───間違いない)
(最後に見た万次郎よりもずっと幼いその姿に、あなたの視界が涙で滲む。……本当に、やり直せるのだ。ようやく湧いてきた実感に、口の端がヒクつくのが分かる。いよいよ鼻水まで垂れてくる感触に思いっきり鼻を啜って、あなたは空を仰ぎ見た)
………? オイ、誰だアンタ。
ウチに用か?
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