(──暗転)
(イザナたちの国の話を聞いてから、ほんの数ヶ月後の事だった。イザナがリンチに遭って入院した)
(その頃にはイザナは既に真一郎と連絡を取り合っていて、二人で出掛けては"不良の遊び"をしていたらしい。その延長か、イザナはよく鶴蝶を連れて出かけてはそこらの不良と喧嘩をしていたようだ)
(その事に気付けなかったのはイザナと鶴蝶の二人が全く怪我をせずに帰ってくるのも原因の一つではあった。それに加えて真一郎は悪い事を教えつつも、まさかイザナが喧嘩をしているとは思わなかったし、あなたはあなたで休みの日は万次郎に会いに行っていて、イザナたちは怒られるから外で喧嘩をしてきたなどと言うわけもない。不運が重なった結果だった)
(──そのリンチに遭った日から、イザナは僅かに変わった。お見舞いに行けば笑顔を見せてくれるものの、時折思い出したように目を細めて遠くを見つめている。傷が痛むのかと聞けばそうではなく、自分をこんな目に遭わせた相手が許せなくて仕方がないのだと言う。それはそうだろう。痛い目に遭わされて許せる人などなかなか居ないとあなたは納得したが、イザナの恨みはあなたが思っていたよりもずっと深く、重いものだった)
(────そうしてイザナは退院した後、間接的に人を殺し、少年院へと送られることになる)
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