(──飛行機で4時間。初めて足を踏み入れる異国は、なんだか思っていたよりも人が賑わっていて騒がしかった。けれども道を外れれば一変、瓦礫の山がそこらじゅうに積み重なっている)
(一人地図と睨めっこしながら、指定された場所を目指して歩き続ける。案外足場が悪くて、スニーカーで来て正解だったと頷いた)
(そうしてようやく、あなたは一つの建物の前にたどり着く。『灰色の空の下で、天井が壊れた廃墟に大量のスクラップ』。スマホのマップを開けば、まさに地図に書かれたとおりの場所にピンが打たれていた。万次郎の兄がバイクのエンジンを拾ったのはここに違いなかった)
──……本当に来たのか。
(後ろから聞こえてきた声に、ハッと振り向く)

アンタ、全然変わってねーな……○○さん。
(あの日のように笑う彼は、どこからどう見ても万次郎そのものだった。久しぶりの再会に、思わず駆け寄り力の限り抱きしめる。ちゃんと受け止めてくれたものの、昔よりも少しだけ痩せたその体に眉を寄せたところで、「まさか本当に来てくれるとは思わなかった」と万次郎が呟いた)
だってオレ、一方的にお別れしたろ。
だから○○さん、もうオレのことキライになっちまったかなーって……そう思ってたから。
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